PA-13・12A移動式ガス発生設備30m/hタイプ


      

1.開発の動機・目的
  @平成7年に開発された現行機の移動式ガス発生設備は、ベンチュリーミキサーのノズル噴射圧力を
   0.15MPa必要とするため、寒冷地の使用において原料プロパンの蒸気圧が低下した場合に支障
   をきたす恐れがありました。
  ・取扱・保管・運搬が不便でした。
  ・通常12Aガス事業者では使用できないため、12Aで使用できる移動式ガス発生設備の開発ニー
   ズがありました。
  Aそこで寒冷地で使用可能とし、使用上の利便性・災害時の互換性を可能とすべく次のコンセプトで
   開発しました。
  ・原料プロパン液温−25℃(蒸気圧0.15MPa)で製造可能であること。寒冷地において現行機は
   冬期の使用に制約があるため、使用可能外気温度を−5℃〜−10℃まで下げる必要がありました。
  ・13Aに加え12Aにも対応可能な装置とします。災害時の際に13A及び12A事業者間で相互
   応援が可能な性能を備えた装置とします。   
  ・小型・軽量であること。現行機は一般的なプロパン容器をクッションタンクとして利用しているた
   め、クッションタンクを小さくして装置の小型軽量化を図り取扱を容易にします。   
  ・安価であること。現行機に対して高性能化しても、価格は同等以下にします。

2.開発の内容   
   現行機の課題を解決するため次の検討を行ないました。
  @最低使用温度を下げるためのベンチュリーミキサーの検討。PA
   高カロリー移動式ガス発生設備は空気吸入式であるため、ベンチ
   ュリーの効率を上げることにより吸引性能が向上し、ノズル圧力
   を下げることができます(低い蒸気圧で使用できます)。ノズル
   噴射圧力が0.09MPa程度でも13A・12Aの重畳領域に収
   まるガスを製造可能なノズル、スロートを製作します。従来は実
   験結果を基に設計していましたが、今回は計算による手法とし開
   発時間を短縮しました。
  A熱量の安定化ガス製造部分にベンチュリーミキサーを使用してい
   るため、製造の開始・停止時に空気を瞬間的に吸入しない時間が
   あり熱量が変動します。小型化のためクッションタンク容量を小
   さくすると、この熱量変動を吸収しきれず熱量が不安定になりま
   すが、これを防止するためガス通路を可能な限り小さくしました。
   ガス通路を小さくするとハンチング等の作動変動が起き、熱量変
   動などの問題が生じます。これらの矛盾をコントロール機器の改
   良により克服しました。
  B基本機器の1ブロック化
   構成機器を1ブロック化することにより、軽量化・小型化・組立
   工程の省力化を図りました。
  C原料残確認の簡素化
   現行機は原料確認をガスメーターで行っていますが、これを製造
   時間(カウンター)で確認出来る方法としました。
  Dガス種の互換性
   当初、部品の交換、調整等をせずに13A・12Aの
   重畳領域に納まるような性能を目指しましたが、検討
   の結果、ノズル交換により13A・12Aのガス種に
   対応可能な装置とました。

3.新規性・独創性
  @安価・高性能他の移動式ガス発生設備に比べ、空気吸
   入式ガス発生設備は安価であり原料調達が容易で、1
   回の設置で平均的な一般家庭で約1ヶ月以上使用可能
   です。この装置を更に高性能化、小型化し、災害復旧
   支援に有利な13A・12Aガスの互換性を持った装
   置としました。
  A小型軽量4m/h・30m/hタイプ共に装置質
   量を約40%小型化し、4m/hタイプは1人で運
   搬が可能となりました。30m/hタイプは軽自動
   車に積載可能であり、取扱・設置が容易になりました。
  B寒冷地対応他からのエネルギーを必要とせず、プロパンの自然発生の蒸気圧を利用してガスを製造
   する自立型とするため、ベンチュリーミキサーのノズル噴射圧力が低くても装置が作動するように、
   形状、ノズル、スロートの喉面積比を検討し、外気温−10℃でも作動可能としました。また、低
   温化に伴い発生する作動不具合を防止するため、制御機器を改良開発しました。
  C住宅との調和原料残量確認を製造時間で計測するカウンターシステムとしたことで、外観がスマー
   トになり、設置した時の違和感が緩和されました。
  D相互依存13A・12Aの共用設備であるため、13A・12Aガス事業者間での設備の相互依存
   が可能となりました。

4.合理化実績
  @導管工事費削減・経年ガス管対策などで、導管・供給管の取替の際、従来は新設管の設置後に結び
   替えをしていましたが、移動式で当該需要家にガスを供給しつつ工事が進められ、同一占用場所に
   新設導管が設置できるため、道路復旧量が約半分となり工事コストを約30〜40%削減できます。
  ・移動式で供給可能な需要量であれば、導管工事の際のバイパス工事が必要なくなり、掘削面積を小
   さくできるため、既に現行機を活用し土木工事費の低減(約20〜30%)を図りました。開発機
   は小型化、寒冷地対応としたため、現場における限られたスペースで設置台数を増加でき、さらに
   冬期にも対応できることから適応可能な工事ケースが増加しました。
  A工事手続きの簡素化・導管取替の際に占用位置が同一なため、道路管理者から占用許可を受けやす
   くなりました。
  ・導管工事の際に工事時間が短縮されるため、警察から道路使用許可が得やすくなりました。
  B熱量変更の効率化・小型軽量・寒冷地仕様としたため、事前調整、寒冷地における冬期調整に利用
   でき、調整作業の効率化が図れます。
  C災害支援を考慮した装置
  ・13A・12Aの互換性があり交換用のノズルを装置のBOX内に収めてあるので、災害時は各事
   業者にてノズルを交換し現地に送ることにより、災害現場にて速やかに使用できます。

5.省エネルギー・環境改善
  @環境改善・現行機の製造音は65dBですが、開発機は55dBであるため、設置需要家からの苦
   情が無くなりました。
  ・人工的なエネルギーを使わずに外気温を熱源として作動するため、CO
等の有害物質を発生しま
   せん。
  ・寒冷地においても年間を通して使用できるため、工事、災害時などの供給停止時間が短時間になり
   需要家の生活環境を確保できるようになりました。
  A省エネルギー・プロパンの蒸気圧のみで作動するため、100%に近い効率です。
  ・小型軽量なので移動に要するエネルギーが軽減されました。

6.保安改善実績
  ・導管の取替・修理等の際、移動式でガスを供給しながら工事が可能なため、時間的制約を受けずに
   事業者側のペースで工事を進められることから、あせりによる人的ミスが軽減され、事故防止につ
   ながりました。


PA-13・12A移動式ガス発生設備
従来機(左)と開発機(右)