交流の広場

多摩川遊歩記

第7話 白丸ダムと魚道

 多摩川が日原川と合流する一帯は氷川渓谷と呼ばれ、広い河原にキャンプ場やます釣り場が点在し、アウトドアを満喫できるポイント。青梅街道沿いには温泉や旅館が並び、JR奥多摩駅からも近いことから夏には観光客で賑わいます。

 さらに下流へ向かうと、次第に渓谷は険しさを増し、急崖が続く数馬峡谷へ入ります。一方、水の流れは緩やかになっていき、白丸ダムにより造られた白丸湖(数馬湖)が現れます。白丸ダムは昭和38年に発電用として建設され、ここで溜めた水は御岳の発電所へ送られています。

 ダムの完成に伴い、川に生息するアユやマス、ヤマメなどの魚道が分断されてしまったことから、建設省では平成5年4月より、河川環境改善の一環としてダムに魚道を設置。ダムを挟んで上流側と下流側をトンネルで結び、魚たちが自由に行き来できるようにしました。トンネル内は、魚の習性を考慮した構造になっており、他にも多摩川では各地で魚道が設置されています。

▲数馬峡谷
  釣りや写生を楽しむ人も多い
▲白丸ダム
  (高さ30.3m、堤長61.0m)
▲ダムから見た魚道(写真左)

●数馬の切通し(石門)●

 数馬峡谷は「白丸狭窄地帯」と言われる断崖絶壁の続く渓谷で、昔から交通の難所として有名でした。現在の青梅街道は、急崖の中腹を白丸トンネルで抜けていますが、江戸時代前期までは、ここを通るには尾根を越えて行くしかありませんでした。これでは遠回りであると考えた地元住民は、元禄16年(1703)に3年余りかけて「切通し」を開削。これがバイパスとなり、奥多摩と青梅方面との物流交流が便利になったのです。

 この「数馬の切通し」は、白丸トンネルの真上に当時のまま残されています。

▲数馬の切通し
「数馬」とは角(か)・隅(ずま)
の意で、険しい地形を表わし
ている
 ▲白丸トンネル脇にある大正
 12年に掘られた隧道
▲現在の白丸トンネル
元禄・大正・昭和の街道の比較が楽しめる