交流の広場

野鳥の里「春夏秋冬」

第56話 西行法師も詠った水辺の鳥「イソシギ」

▲秋の夕暮、その鳴き声が寂蓼感を呼ぶ
写真提供:日本野鳥の会 岩崎和男様

≪イソシギの特性≫
分 類
 チドリ目・シギ科
全 長
 約20p
特 徴
 @雌雄ほぼ同色。体の下面の
  白い羽毛が胸まで入り込んで
  いる。
 A繁殖期はつがいで行動するが、
  非繁殖期には一羽で行動する。
 B尾を上下に振りながら歩き、
  水中の昆虫類を捕食する。
生息地
 海岸、河川、湖沼、水田、河口、
 干潟など
採 餌
 昆虫、水生昆虫の幼虫など
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 ハリウッド映画のタイトルでも有名な「いそしぎ」。漢字では「磯鴫」または「磯鷸」と表記されるため、 海辺だけに生息する鳥のように思われがちですが、実際は河川や湖沼、水田、干潟など広範囲で見かけることができます。 ユーラシア大陸の亜寒帯から温帯で広く繁殖し、北方のものは冬季には暖地へと移動しますが、 関東地方ではほぼ一年中出会える身近な留鳥です。
 雌雄同色で、頭部から背面、尾まで地味な褐色ですが、腹部の鮮やかな白斑が翼を取り巻くように首元まで食い込んでいるのが特徴で、 ここに注目すれば、容易に他の鴫類と見分けることができます。
 何故か夕暮れ時になると、「ピーイ」「ピュピュピュ」と寂しげに鳴くイソシギ。 その鳴き声に哀れを感じた西行法師の詠った和歌が、世に言う「三夕(さんせき)の歌(秋の夕暮を詠った三つの名歌)」の一つとして『新古今和歌集』に残されています。

心なき身にもあはれはしられけり
           鴫たつ沢の 秋の夕暮
                      西行法師

俗世を捨てて出家した私にも、
世の無常が身に染みる。
鴫が沢を飛び立った後のこの秋の夕暮には。