1.開発趣旨
(1)開発の動機・目的
   従来、ポリエチレン(以下「PE管」)と既設導管(鋼管・鋳鉄管)を接合する場合、鋼管には溶
  接もしくはメカニカル継手で接合し、PE部にはPEソケットを使用していました。また、鋳鉄管に
  は、スリーブ継手・トランジション継手・PEソケット継手の3種類の継手を使用していました。し
  かし、これら従来の工法では、@熱量変更時に狭い場所でのセクター用バルブ取付け(確定計画場所
  に設置しないと調整負荷が変わってしまう)ができません。A材料コストが高くなります。B継手ご
  との接合を要するため、作業が非効率的です。C掘削面積が広いため、土木作業量の増加に伴う土木
  工事費が高くなります。そこで、コンパクトで耐震性・気密性に優れ、PE管と鋼管・鋳鉄管(以下
  「従来管」)を容易に変換可能(六角レンチのみで取付可能)な継手を開発した。
(2)開発の内容
  開発した継手の構造を図−1に示します。
(3)新規性・独創性
  @鋼管・鋳鉄管のどちらにでも使用可能です。
  A変換距離がゼロです(既設管の上にPE管が被さる
   構造のため、変換距離が不要です)。(写真−1)
  B現場にて1つの工具で簡単に設置できます(熟練を
   要さない)。(写真−2)
  C軽量(片手で持てます)・安価・コンパクトです。
  D耐震性・耐蝕性に優れ、高気密構造です(パッキン
   面圧が高く幅広のため、経年管に対応可能です)。
  E各種EF継手(エルボ・T字・レジューサー・キャ
   ップ等)を直接融着できるため、省スペース化と工
   事費のコストダウンが図れます。(写真−3)
  F災害時のガス管本復旧工事に高度な技術を要さない
   ため、中小事業者でも自社で破損箇所の修
   復ができ、修理要領を統一化できます。

2.実 績
(1)合理化実績
  @本継手を使用すると掘削量が減少するため、
   土木工事費を30〜50%削減できます。
  A少スペースで施工できるため、他の埋設物
   が輻輳している場合でも使用可能です。
   (従来は、セクターバルブ等の取付けの際
   に切り回し配管が必要となることが、工事
   費の高騰の原因となっていた。)
  B一体型のため配管材料費が削減できます。
   (材料費は鋼管で約1/2、鋳鉄管で約1
   /3になる。)
  C災害時のガス管本復旧工事において、高度
   な技術を要さずに従来管が接続できるため、
   中小ガス事業者でも自社で復旧工事が可能
   です。
(3)省エネルギー・環境改善における実績
  @省エネルギー効果
   ・コンパクトなため、従来の同目的の継手
    に比べ省エネルギーで製作できます。
   ・軽量なので運搬及び取扱いが容易です。
    (工事現場での吊りおろし車両が不要)
  A環境改善効果
   掘削面積が少ないことから、
   ・交通渋滞の影響を減らすことができる。
    (道路管理者の許可が受けやすい)
   ・工事が昼間に行えるようになり、夜間工
    事を減らすことができます(労働環境の
    向上・苦情減少効果)。
   ・土木量の減少により、土木機械の運転時
    間の短縮に伴う大気汚染防止効果があり
    ます。
(4) 保安改善実績
  @従来管との接続は管内にガスが通じた状態
   で行います。
   ・溶接接合が不要なため火花が出ず安全。
   ・結び工事が短時間で終わるため安全。
  A使用する工具が少ないため、誤認工事を防止できます。


図−1
写真−1
写真−2

写真−3